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嫌な音
2023年05月19日
シネコンなどの複数スクリーンの映画館で、静かなシーンで別の映画の音がかすかに聞こえることがありますが、大概は場違いな音ですぐそれと気づくものです。
現在公開中の映画「TAR」を鑑賞中、途中からなんかずっと変な音が鳴っている、でも別のスクリーンの音が漏れ聞こえてる?ってくらいの音量なのでまさか眼前の映画の音と思わずにいるけどやっぱりずっと鳴っている!急にほんとに無音のカットが入ってああ、やっぱり鳴ってたのか、でも、いつから?ってくらい微妙な音量のノイズというか通奏低音のような「嫌な音」に翻弄されてあっという間の上映時間。
世界的な女性指揮者の成功と挫折(と再生)、とあらすじをまとめたところで本質を逃しているような気がする。いや、私にとってはまさに「嫌な音」の映画でした(最上級の賛辞のつもりで)。なまじの犯罪映画より遥かにサスペンスフルなあの「音」を聴きに再見予定です。
余談ですが、主人公はマーラーの交響曲第5番のライブ録音に臨むも、リリースは配信のみでレコードを切ってくれない、とぼやきます。ところが主演のケイト・ブランシェットが実際に指揮した劇中の音源はサントラCDおよびLPとして発売されるという皮肉(しかもドイツの名門レーベルグラモフォンから)。
Y・R
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