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「ケイコ 目を澄ませて」
2023年02月1日
ろうあ者をろうあではない役者が演じる場合、通常のお芝居ではその役者さんは設定上音声言語を発話しませんが、例えばその人が手紙を書いたとしてそれを別の登場人物が読むシーンで、最初は別の人が読んでいる声がオーバーラップで変わるなどして、ろうあを演じているはずの役者さんの声でスラスラ読まれることがあります。でも、実際にはありえない。「心の声」がナレーションになることもあるし、お芝居なんだから別にアリだとは思いますが、お話に入り込んで観ているときは、冷める。ただ、ろうあの役が主役なら、まったく発声しない、ということは営業的な色々含めて難しい(気がする)。
現在公開中の映画「ケイコ 目を澄ませて」では、その点も含めてスキがないな、と感嘆します。この演出があるから、手話や、身振りや、読唇などさまざまな言語=コミュニケーションで成り立っているこの映画の中で、通常は当然のように優遇される音声言語が突出しない。
例に上げたようなシーンがあるのですが、そこでは主演の岸井ゆきのさんではなく、仙道敦子さんの声で主人公の日記が読み上げられます。今まで意識してなかったですが、仙道さんの特徴的な声が効果的で、このシーンありきでスタッフはオファーされたのかしら。
Y・R
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