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ソライロノハナ
2020年10月27日
先日古本屋で萩原朔太郎の「ソライロノハナ」という緑色の綺麗な装丁の本を発見。
朔太郎作品でも初めて見るタイトルなので気になり、中身を見てみるとなんと全ページ直筆で描かれた短歌集でした。
萩原朔太郎の短歌はあまりイメージがなかったので調べてみると、初期に1冊だけ自作した短歌集を忠実に再現したレプリカ品だとか何とか。
中身をぱらぱら立ち読みし、勿論「これは買いだ!」と思い裏の値札を見ると愕然。
高すぎて手が全く出ない値段ではなく、無理すれば買えるけど買った後の事を考えると尻込みしてしまうという残酷な値段。
財布とにらめっこしては悩み、もう一度値札を見てみては悩み、気を紛らわす為に他の本を見ても集中できずに悩み。
悩みに悩んだ結果、やはり買えないという結論に至り、その日は冷たい秋雨に打たれながら帰宅しました。
諦めがつかずどこか悶々とした日々を過ごしていたところ、ある日運良く妻より臨時収入を頂き、古本屋へ直行。無事我が家へ迎え入れさせて頂きました。
その後自宅に戻り、満を持して実読。
当時(恐らく)隆盛していたであろう浪漫派や石川啄木に影響を受けたような、初期衝動に満ち溢れた初々しさを感じる歌が多くて感激。良い意味で読んでいるこっちが照れてしまうような歌も所々にあり、「短歌や詩ってこうじゃないとなあ」なんて偉そうに思ったり。
ただその初々しさの中にも後の「月に吠える」等に通ずるような、ちょっと湿ったような朔太郎イズムも垣間見えたりして、萩原朔太郎のルーツを見ることができたような嬉しい気持ちになりました。
棺桶に入れて欲しい本の内の一冊です。
詩や歌、小説(音楽や映画でも同じかと思いますが)で感動すると、日々の生活や自らの趣味へのやる気が漲ります。
T.K
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