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一兵卒の銃殺
2020年06月16日
先日、田山花袋の"一兵卒の銃殺"を読みました。
田山花袋作品は"蒲団"や"田舎教師"が好きなのでそれなりに期待してたのですが、そんな期待を遥かに上回るくらいに面白く、冒頭から最後まで夢中で読んでしまいました。早くも今年(むしろここ数年)読んだ小説No.1作品かもしれません。
主人公が悪事を働いて逃亡するシーンや、過去の出来事を思い出して悔やみ、自棄になるという作中の描写が非常にリアリティ溢れていて印象的でした。読み進めていく内に自分自身が主人公と重なり、逃げているときの焦燥感や自己嫌悪に苛まれている感覚を味わえました。
あまりにも面白かったので、映画化されていないのかなあなんて思って調べてみたけれど、映画化はされてないみたいです。
この作品は大正時代に発売されたものらしいのですが、悪事を繰り返す主人公の幼少時代の家庭環境を考えると、十分現代にも通じるものがあると思います。シナリオは変えず、舞台を現代に移して映画化しても面白そうだなあなんて思いました。
先日読んだ読書好きの芸人さんのエッセイに「感受性が衰えてきているのか、年を取るにつれて学生時代のように夢中になれる本が少なくなってきた。」と書いてありました。
たしかになあなんて共感しつつ、こんなに夢中になれた本に三十路手前で出会うことができて嬉しいです。
T.K
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