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源叔父
2019年08月1日
最近、国木田独歩の短編集を読んでいます。
国木田独歩といえば「武蔵野」が有名ですが、「武蔵野」よりも強烈に印象が残ったのが「源叔父」という話です。
ざっくりあらすじを紹介しますと(古文調だったのもあり、あくまで自分の解釈です)、妻と子供を亡くした"源叔父"が、浮浪児の青年"紀州"の身元を引き受け一緒に暮らし始めます。幼くして母親に捨てられた紀州は喜怒哀楽の感情がまるでありません。源叔父の慈愛虚しく、紀州は何度も家を抜け出して宛もなく街をふらつきます。
初めは源叔父も優しい言葉をかけながら紀州を家に連れ戻しましたが、徐々に源叔父も体調が悪くなったりそんな紀州に気が滅入ったり。
最終的に源叔父は松の木に首を吊って自殺してしまいます。自殺したときも紀州は街をふらついており、街の人が「源叔父が自殺した」と紀州に話すと、紀州はその人の顔をじっと見返しただけでした。
調べてみると国木田独歩の処女作だったみたいです。
源叔父の孤独さと紀州への慈愛の虚しさ、紀州の無常さがなんだか心に響きました。
久しぶりに感動しました。
T.K
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