日本映像学会・関西支部主催で毎年開かれている映画ゼミナールが、今年も開催されました。以前は郊外での合宿形式だったそうですが、現在は、京都文化博物館のフィルムシアターで行われています。大変大きなスクリーンで、東京・京橋のフィルムセンターを除けば、公共施設で常設の映画の上映設備があるのは、全国的にも珍しいと思います。
今年は「依田義賢・人とシナリオ」と題し、溝口健二監督の代表作の脚本を多く手がけて世界的にも著名な脚本家であり、京都を代表する映画人でもあった依田義賢さんの作品が8本、3日にわたって上映されました。私は最終上映の「千利休・本覺坊遺文」(1989年 井上靖原作・熊井啓監督)を見ました。三船敏郎さんや萬屋錦之助さんなど、映画界を代表する俳優さんのキャリアの晩期を飾るすばらしい演技と、禅の公案のような深い哲学的テーマの作品でした。依田さんにとっては、最後の脚本作品となりました。
上映後、依田さんのご子息である、哲学者の依田義右さんや、「千利休・本覺坊遺文」で監督補を務めたドキュメンタリー映画監督である原一男さんなどが登壇され、ディスカッションが行われました。1970年代、依田さんの娘さんがバークレーに留学されていた縁で依田―溝口作品の特集上映が行われ、それを見たフランシス・コッポラ監督(ゴッドファーザーなど)との映画製作が一時期企画されていたことや、生前最後に考えていた脚本が松尾芭蕉と曽良との同性愛にまつわる話だった、など、大変面白いお話をしてくださいました。
依田さんといえば、「スター・ウォーズ」のキャラクター「ヨーダ」のネーミングの由来では?という説が(制作サイドは認めていないそうですが)有名ですが、コッポラと依田さんにつながりがあったということは、コッポラの映画仲間であるジョージ・ルーカス監督とも・・・?
Y.R
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