葉山嘉樹の「労働者のいない船」を読みました。昭和初期の小説です。
こちらは短編集になっておりまして、「労働者のいない船」以外にも数話入っており、俗に言うプロレタリア文学と呼ばれるものになります。
プロレタリア文学とは、劣悪な環境の中で低賃金で長時間働かされ、搾取され続ける当時の労働者の実情を描かれた小説を指します。
産業革命の影響でしょうか、近代史には疎いのであまり詳しいことはわかりませんが、当時はそのような労働環境が社会問題になっていたそうです。その影響でプロレタリア文学も盛んになったそう。
あくまで私感ですが、このような当時の劣悪な労働環境を小説として描き社会的に暴露することで、雇用側へ反抗し、更なる労働者階級の団結に繋がったのではないかと思います。
当時の社会の実情を小説に描く点に関して、自然主義文学と似ているように思いますが、自然主義文学とプロレタリア文学とは異なります。
自然主義文学とプロレタリア文学について、ふんわりとした違いしかわかりませんが、決定的な違いを発見しました。文章の雰囲気が異なります。
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自然主義文学:淡々とした文章です。起承転結があることにはありますが、あくまで淡々と物語は進む。クールなイメージ。
プロレタリア文学:常に緊張し、一触即発な雰囲気が漂っている文章が故、かっこいい言い回しが多い。常に闘志が燃えたぎっているようなイメージ。
(おまけ)浪漫派文学:物語の始まりから終わりまで華々しいイメージ。人生の素晴らしさ、または儚さ等を情熱的に描写、物語ります。プロレタリア文学とは違った意味で燃えたぎっているようなイメージ。
※こちらもあくまで私感です。
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文学と思想は密接な関係にあります。
ただ思想などハナから興味のない私はあくまで物語として楽しんでいます。
自然主義文学もプロレタリア文学も、それらとは正反対に位置する浪漫文学も大好きです。
T.K
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