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変わったアスペクト比
2021年08月17日
現在主にミニシアターで公開中の映画「ライトハウス」、ゴシック調の凝った画作りと主演の二人(ロバート・パティンソンとウィレム・デフォー)の怪演で評判上々のようですが、変わったアスペクト比を使っています。
1.19:1という、いわゆるスタンダードサイズ(ハリウッド映画では1.33:1が主)より横幅の狭い、ぱっと見1:1?と思うほどスクエアな印象です。これが猛烈な嵐のなか、孤島に閉じ込められる灯台守2人(しかも相性最悪)、というシチュエーションにこれ以外の選択肢は考えられないくらいのハマりよう。真っ暗の劇場で見ると一層「狭さ」が際立ちます。
モノクロということもあり、2眼レフカメラで撮影した古い写真のような、独特の雰囲気も醸しています。
このアスペクト比は1930年代にトーキー映画が出始めた頃に、フィルムの一部をサウンドトラックに当てたために画面が狭くなってしまった、という偶然の産物で(SF映画の金字塔といわれるドイツ映画の「メトロポリス」などもこのアスペクト比)、主流になることはなかった比率なのですが、100年近い時を経てピッタリの素材に出会ったというところでしょうか。
この映画の監督の前作「ウィッチ」も京都では劇場公開中です。こちらは1.66:1と、いわゆるビスタサイズですがアメリカンビスタ(1:1.85)より狭いヨーロッパビスタとのこと、画面サイズに独特のこだわりがあるようです。
Y・R
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